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仮想通貨で損失が出た年は確定申告すべき? — 損益通算・繰越の可否と2028年の変化

結論
現行制度では、仮想通貨(暗号資産)の損失は給与所得や株式・FXの利益とは損益通算できず、翌年以降に繰り越すこともできません。理由は、暗号資産の利益が原則「雑所得(総合課税)」に区分されるためです。ただし、同じ雑所得の枠内であれば、ビットコインの損失をイーサリアムの利益と相殺するなど「暗号資産同士(や他の雑所得)」の損益通算は可能です。そして損失だけで年間の暗号資産所得がマイナスなら、その年に確定申告を提出する義務はありません(ただし提出した方が有利な場面もあります)。この扱いは2028年に予定される「申告分離課税」への移行で大きく変わり、3年間の繰越控除が導入される見込みです。
この記事のポイント
- 暗号資産の損失は給与・事業・株式・FXとは損益通算できない(雑所得は所得区分をまたげない)
- 使いきれない損失を翌年へ繰り越すこともできない(現行制度)
- ただし同じ雑所得の中(暗号資産同士など)なら相殺できる — ここが誤解されやすい核心
- 2028年予定の分離課税(税率20%)移行で3年繰越が入る — 現行との最大の差分
そもそもなぜ損益通算できないのか — 雑所得という区分
日本の所得税は、所得を10種類に分けて計算します。暗号資産の売買・使用・交換で生じた利益は、国税庁の取り扱い上、原則として「雑所得」に区分され、給与などと合算して累進税率で課税される総合課税の対象です。税率は所得に応じて上がり、所得税(最大45%)と住民税(10%)を合わせると最大約55%に達します。
損益通算(赤字を他の黒字と相殺する制度)は、所得税法上、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の4区分でしか認められていません。雑所得はこの4区分に含まれないため、暗号資産の損失を給与所得や株式の譲渡益と相殺することは制度上できないのです。ここは「損だから税金が戻る」と誤解されやすい最重要ポイントです。
暗号資産の所得計算(取得価額の求め方)そのものは仮想通貨の確定申告の基本ガイドと総平均法・移動平均法の違いで詳しく整理しています。
「できないこと」と「できること」を表で整理
損失の扱いは、何と何を相殺するかで結論が変わります。
| 相殺したい組み合わせ | 現行(雑所得・総合課税) | 2028年〜(分離課税・予定) |
|---|---|---|
| 暗号資産の損失 × 暗号資産の利益 | ○ 相殺できる | ○ 相殺できる(特定暗号資産の範囲) |
| 暗号資産の損失 × 他の雑所得の利益 | ○ 相殺できる | △ 分離課税枠内に限定 |
| 暗号資産の損失 × 給与所得 | × できない | × できない |
| 暗号資産の損失 × 株式・投信の譲渡益 | × できない | × できない(別区分) |
| 損失の翌年への繰越 | × できない | ○ 3年間繰越できる(予定) |
つまり現行制度で唯一使える相殺は「同じ雑所得の中」です。年内に含み益のある別の通貨があるなら、それを利確して損失とぶつけ、その年の雑所得をできるだけ0に近づける、というのが数少ない有効な手段になります(いわゆる損益の圧縮)。
損失だけの年、確定申告は必要?
年間を通じて暗号資産の所得がマイナス(損失)の場合、また給与所得者で暗号資産を含む雑所得の利益が20万円以下の場合は、原則として確定申告の義務はありません。損失を繰り越せない現行制度では、赤字を申告しても翌年の税金を減らす効果がないため、「申告してもメリットがない」ケースがほとんどです。この20万円ラインの詳しい条件は年間20万円ルールの解説を参照してください。
ただし例外的に、同じ雑所得内に他の黒字(暗号資産の他通貨の利益、副業の雑所得など)がある場合は、申告して相殺した方が納税額が下がることがあります。「損失だから申告不要」と機械的に判断せず、雑所得全体を合算して黒字か赤字かを必ず確認しましょう。
YMYL(お金の重要事項)に関する注意
本記事は制度の一般的な解説であり、個別の納税額や投資判断を保証・助言するものではありません。適用される税率・要件は所得状況や年度で変わり、2028年の改正は施行前で確定していない部分を含みます。実際の申告は必ず国税庁の最新情報や税理士に確認してください。将来の税負担軽減を約束するものではありません。
2028年の分離課税でどう変わるのか — 最大の差分は「繰越」
令和8年度税制改正で、暗号資産を上場株式等と同様の申告分離課税(税率20%=所得税15%+住民税5%、別途復興特別所得税)とする方向が示され、施行は2028年が有力とされています(金融商品取引法改正の施行時期に連動)。
現行との最大の違いは3点です。
- 税率:総合課税(最大約55%)→ 一律約20%へ。高所得の投資家ほど負担が下がります。
- 繰越控除:現行は繰越不可→ 使いきれない損失を翌年以降3年間繰り越して相殺できるようになる見込み。
- 対象の限定:損益通算・繰越は「特定暗号資産」の範囲内に限られ、株式など他の金融商品とはまたげない見込み。また繰越には損失が出た年を含む連続した確定申告書の提出が要件になる見通しです。
たとえば2027年に300万円の損失、翌年に300万円の利益が出た場合、現行では翌年の利益に丸ごと課税されますが、改正後は前年の損失と相殺して税額を圧縮できる、というのが繰越控除の効果です。制度の全体像と適用条件は2028年 暗号資産の申告分離課税まとめで継続的に更新しています。
よくある質問
Q. 損切りして損失が出ました。確定申告すれば税金は戻りますか? A. 戻りません。暗号資産の損失は給与など他の所得と損益通算できず、現行制度では源泉徴収もないため「還付」される仕組みがそもそもありません。同じ雑所得内に黒字があれば相殺で納税額が下がる可能性はあります。
Q. ビットコインの損失をイーサリアムの利益と相殺できますか? A. できます。どちらも同じ雑所得(総合課税)なので、暗号資産同士の損益は年内で通算できます。相殺できないのは「暗号資産の損失」と「給与・株式など別区分の所得」の組み合わせです。
Q. 今年の損失を来年に繰り越せますか? A. 現行の雑所得区分では繰り越せません。翌年に持ち越して控除する制度は、2028年に予定される分離課税移行で初めて(3年間の繰越として)導入される見込みです。
Q. 損失なら申告しなくても問題ないですか? A. 暗号資産を含む雑所得が全体で赤字、または給与所得者で利益が20万円以下なら、原則として申告義務はありません。ただし他に黒字の雑所得がある場合は申告した方が有利なことがあるため、雑所得全体で判定してください。
参考・出典
- 国税庁|暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について(令和7年12月)
- 国税庁 タックスアンサー No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係
- 国税庁 タックスアンサー No.2250 損益通算
- 大和総研|暗号資産取引に20%の申告分離課税導入へ(令和8年度税制改正)
- Coincheck|損失でも確定申告は必要? 仮想通貨の税金・計算方法を解説
投資にあたっての注意
本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。暗号資産は価格変動やハッキング、紛失等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任で、余裕資金の範囲で行ってください。税制・規制は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式の一次情報をご確認ください。
Sources
FAQ
- 損切りして損失が出ました。確定申告すれば税金は戻りますか?
- 戻りません。暗号資産の損失は給与など他の所得と損益通算できず、源泉徴収もないため還付される仕組みがありません。ただし同じ雑所得内に黒字があれば相殺で納税額が下がる可能性はあります。
- ビットコインの損失をイーサリアムの利益と相殺できますか?
- できます。どちらも同じ雑所得(総合課税)なので、暗号資産同士の損益は年内で通算可能です。相殺できないのは暗号資産の損失と給与・株式など別区分の所得との組み合わせです。
- 今年の損失を来年に繰り越せますか?
- 現行の雑所得区分では繰り越せません。翌年以降に持ち越して控除する制度は、2028年に予定される申告分離課税への移行で初めて3年間の繰越控除として導入される見込みです。
- 損失なら申告しなくても問題ないですか?
- 暗号資産を含む雑所得が全体で赤字、または給与所得者で利益が20万円以下なら、原則として申告義務はありません。ただし他に黒字の雑所得がある場合は申告した方が有利なことがあるため、雑所得全体で判定してください。
本記事は情報提供のみを目的とし、投資・金融・取引の助言ではありません。価格は参考値で古い場合があります。投資判断はご自身の責任で。