学ぶ

仮想通貨の確定申告で経費として認められるもの・ならないもの【一覧】手数料/書籍/PC/電気代はどこまで

仮想通貨の確定申告で経費として認められるもの・ならないもの【一覧】手数料/書籍/PC/電気代はどこまで
写真: Fer1997 / Public domain

結論

仮想通貨(暗号資産)の確定申告で経費として認められるかは、「その仮想通貨の利益を得るために直接必要だった支出か」で決まります。取引手数料・出金手数料・仮想通貨の取得費・損益計算ソフト代はほぼ全額が経費(○)、PC・スマホ・通信費・電気代は私用と混ざるため事業割合だけを按分して計上(△)、日常の生活費・食費・未実現の含み損(まだ売っていない下落分)は経費にならない(×)というのが基本線です。会社員の副業取引は原則「雑所得」で、所得税法上「その収入を得るため直接要した費用」が経費要件となるため、事業所得ほど広くは認められません。判断に迷う支出は、領収書と按分根拠を残したうえで最終的に税務署・税理士に確認してください。

この記事のポイント

- 雑所得の経費要件は「その収入(仮想通貨の利益)を得るために直接必要だったこと」。プライベート兼用は按分が必須。

- ○=取引手数料・取得費・損益計算ソフト△=PC・通信費・電気代(家事按分)×=生活費・含み損・引っ越し等の無関係支出

- 10万円以上のPCは原則減価償却。青色申告者は30万円未満(2026年4月からは40万円未満)を一括計上できる特例あり。

- 領収書・帳簿の保存義務があり、按分割合は「客観的に合理的な説明がつく根拠」を残すことが命綱。

そもそも仮想通貨の利益は何所得?経費のルールが変わる

個人が仮想通貨を売却・使用・交換して得た利益は、事業として行っている等の例外を除き、原則として雑所得(総合課税)に区分されます(国税庁)。給与など他の所得と合算して累進課税(所得税+住民税で最大約55%)されるのが特徴です。全体像は仮想通貨の税金と確定申告の完全ガイドで解説しています。

雑所得の必要経費は、所得税法第37条により「その収入を得るために直接要した費用」と「その年に生じた販売費・一般管理費」が対象です。つまり「仮想通貨で儲けるために直接いる出費だったか」が、経費になるかどうかの唯一の物差しになります。この一点を押さえると、以下の○×がすべて説明できます。

経費○×一覧(仮想通貨の確定申告)

支出の例判定理由・注意点
取引所の売買手数料・スプレッド取引に直接必要。約定ごとに発生
送金・出金手数料、ネットワーク手数料(ガス代)取引・移動に直接必要
仮想通貨の取得費(購入原価)売却益計算の取得価額として控除
損益計算ソフト(Cryptact・Gtax等)の利用料申告のための計算に直接必要
税理士への相談・申告代行報酬(仮想通貨分)申告に直接関連する範囲
PC・スマホ・モニター△(按分)私用と兼用なら事業使用割合のみ。10万円以上は減価償却
インターネット通信費・スマホ通信費△(按分)取引に使った割合だけ
電気代△(按分)取引に使った時間・面積など合理的割合のみ
仮想通貨関連の書籍・有料情報・セミナー取引判断に直接役立つ範囲。投資一般の教養は否認リスク
家賃・自宅の一室△(按分)取引専用スペースの床面積割合など根拠が必要
日常の生活費・食費・娯楽費×収入との直接関係なし
未実現の含み損(売っていない下落分)×損失は売却して実現しないと反映されない
引っ越し費用・被服費など無関係支出×仮想通貨の利益獲得に直接必要でない

△(按分)の項目は「全額」ではなく事業に使った割合だけが経費です。書籍やセミナーは、特定銘柄の分析や税務など「取引に直接役立つ」ものほど認められやすく、一般的な資産形成・自己啓発寄りになるほど否認されやすくなります。

家事按分の割合は「根拠」を残せるかで決まる

PC・通信費・電気代・家賃のように私生活と仕事が混ざる支出は、事業に使った部分だけを合理的に区分します。これを家事按分といいます。国税・実務で共通して重要なのは、「客観的に見て合理的な説明がつくか」という一点です。

  • 通信費・電気代: 取引に使った時間割合(例: 1日のうち取引・情報収集に使う時間)
  • 家賃・電気代の一部: 取引専用スペースの床面積割合
  • PC・スマホ: 業務使用割合(例: 50%を事業、50%を私用)

割合そのものに法定の正解値はありませんが、「なぜその%なのか」を説明できるメモ(使用時間の記録、間取り図、按分計算表)を残しておくことが、後日の問い合わせに耐える唯一の方法です。感覚で100%計上するのが最も危険です。

PCなど高額品は「一括で経費」にできないことがある

パソコンやタブレットは金額によって処理が変わります(取得価額の目安)。

取得価額原則的な処理
10万円未満全額をその年の経費(消耗品費)に一括計上
10万円以上20万円未満一括償却資産として3年で均等償却が可能
20万円以上原則、耐用年数(PCは4年)で減価償却

さらに青色申告者は「少額減価償却資産の特例」により、取得価額30万円未満(1年あたり合計300万円まで)を一括で経費にできます。この上限は税制改正で2026年(令和8年)4月以降、40万円未満に引き上げられます(マネーフォワード等)。ただし雑所得の白色申告ではこの特例は使えず、原則の減価償却になります。PCが私用兼用なら、まず家事按分してから上記の判定を行う点に注意してください。

領収書・帳簿の保存義務(ここが本番)

経費は「計上した」だけでは足りず、根拠書類の保存まで含めて完結します。仮想通貨の申告では次を保存しておきます。

  • 取引所の年間取引報告書・取引履歴(CSV)、送金記録
  • 手数料・ソフト利用料・書籍・PCなどの領収書/購入明細
  • 家事按分の計算根拠メモ(使用時間・面積・割合の算定過程)

白色申告でも帳簿・書類の保存義務があり、一般に領収書等は5〜7年を目安に保管します(区分により異なるため最新は国税庁で確認)。売却して損失が出た年の扱いは仮想通貨で損失が出たときの確定申告で詳しく解説しています。

これは投資判断・個別の税務助言ではありません

本記事は教育目的の一般的な整理です。経費の可否は「取引の実態」と「直接必要性」で個別に判断され、雑所得か事業所得かでも扱いが変わります。少額減価償却の特例上限や保存年数などの数値は改正されるため、申告前に必ず国税庁の最新情報と税理士に確認してください。仮想通貨の価格変動リスクや利益を保証するものではありません。

法人化すると経費の範囲はどう変わる?

個人の雑所得では「利益に直接必要な支出」に限られますが、法人にすると役員報酬・より広い管理費・損失の繰越(青色欠損金)など、経費として認められる範囲と節税の選択肢が広がります。一方で設立・維持コストや申告の手間も増えます。どちらが有利かは取引規模で変わるため、仮想通貨の税金は個人と法人どちらが得かで損益分岐を確認してください。年間利益がまとまってきた人ほど、経費の幅の差が効いてきます。

よくある質問

Q. 仮想通貨の勉強に使った書籍やオンラインセミナーは経費になりますか? A. 取引判断や税務処理に直接役立つ内容であれば認められる可能性があります(△)。ただし一般的な資産形成・自己啓発に近いものは「直接必要」と言いにくく否認リスクがあります。テーマと領収書を残し、迷えば税理士に確認を。

Q. まだ売っていないけれど値下がりした含み損は経費(損失)にできますか? A. できません(×)。仮想通貨の損益は売却・使用・交換で実現して初めて計上されます。保有したままの評価損は申告に反映されません。

Q. PCや通信費は全額を経費にしていいですか? A. 私用と兼用なら全額は不可で、事業に使った割合だけを家事按分します(△)。100%事業専用と説明できる客観的根拠がなければ、合理的な割合(使用時間・面積など)にとどめてください。

Q. 電気代は経費に入れられますか? A. 取引・情報収集に使った分は家事按分で計上可能です(△)。ただし生活全体の電気代を丸ごと入れるのは不可。マイニングなど電力を大量に使う場合は割合の根拠がより重要になります。

参考・出典

投資にあたっての注意

本記事は情報提供を目的としたものであり、投資助言ではありません。暗号資産は価格変動やハッキング、紛失等のリスクがあります。投資判断はご自身の責任で、余裕資金の範囲で行ってください。税制・規制は変更される場合があるため、最新情報は必ず公式の一次情報をご確認ください。

Sources

  1. 国税庁 確定申告書等作成コーナー|暗号資産の取引に係る収入がある場合
  2. 国税庁 No.5403 少額の減価償却資産になるかどうかの判定の例示
  3. クリプタクト|仮想通貨取引で認められる経費とは
  4. マネーフォワード クラウド|少額減価償却資産は2026年4月から30万円→40万円に
  5. Coincheck|仮想通貨の経費はどこまでできる?

FAQ

仮想通貨の勉強に使った書籍やオンラインセミナーは経費になりますか?
取引判断や税務処理に直接役立つ内容なら認められる可能性があります(△)。一般的な資産形成・自己啓発に近いものは「直接必要」と言いにくく否認リスクがあるため、テーマと領収書を残し、迷えば税理士に確認してください。
まだ売っていない含み損は経費(損失)にできますか?
できません(×)。仮想通貨の損益は売却・使用・交換で実現して初めて計上され、保有したままの評価損は申告に反映されません。
PCや通信費は全額を経費にしていいですか?
私用と兼用なら全額は不可で、事業に使った割合だけを家事按分します(△)。100%事業専用と説明できる客観的根拠がなければ、使用時間や面積など合理的な割合にとどめてください。
電気代は経費に入れられますか?
取引・情報収集に使った分は家事按分で計上できます(△)。生活全体の電気代を丸ごと入れるのは不可で、マイニング等で電力を多く使う場合は割合の根拠がより重要になります。
空(Sora)
  • 暗号資産・ブロックチェーン
  • 初心者向け解説 / Beginner-friendly
  • 中立・出典重視 / Source-backed

暗号資産・ブロックチェーンの初心者向け解説を担当する編集者です。中立性と一次情報(出典)を重視し、やさしさと正確さの両立を心がけています。投資の勧誘や助言は行いません。 A crypto & blockchain editor focused on beginner-friendly, source-backed explainers. Neutral, never financial advice.

本記事は情報提供のみを目的とし、投資・金融・取引の助言ではありません。価格は参考値で古い場合があります。投資判断はご自身の責任で。