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RWAトークン化プラットフォーム一覧|主要プレイヤーと日本のST市場(2026年7月時点)

RWAトークン化プラットフォームの4層構造を示す概念図。ファンド運用・発行/移転代理・保管/インフラ・取引の各レイヤーが縦に積み上がり、右側に日本のST市場(Progmat・BOOSTRY・START)が並記されている
Photo: Stevebidmead / CC0

結論:RWAトークン化プラットフォームは「4つの別の仕事」の総称です

「RWAトークン化プラットフォーム」と一語で呼ばれているものは、実際にはファンドの運用・トークンの発行と記録・保管・取引という4つの別々の仕事の集合で、1社がすべてを担っている例はほとんどありません。BlackRockのBUIDLで言えば、ファンドを運用するのはBlackRock、トークン化の基盤はSecuritize、投資家の受付は証券会社であるSecuritize Markets, LLCです。「どのプラットフォームが良いか」を比べる前に、自分がいま見ているのがどのレイヤーなのかを確定させてください。この記事は順位付けもおすすめもしない、2026年7月時点の中立なディレクトリです。

そして、最初に押さえるべき数字が1つあります。

要点

rwa.xyzが集計するオンチェーンRWAの「distributed asset value(実際にオンチェーンで発行された価値)」は343.2億ドル(30日前比+3.43%)。一方の「represented asset value(チェーン上で参照されているだけの資産を含む)」は3,836.9億ドルです(いずれも2026年7月15日時点・rwa.xyz)。10倍以上の差は集計方法の違いによるもので、後者にはFigureのHELOC(住宅担保ローン)プールのように、チェーン上で参照されているだけの資産が含まれます。「RWA市場は3,800億ドル規模」という見出しを見たら、どちらの数字かを必ず確認してください。

RWAそのものの仕組みはRWA(現実資産のトークン化)とはで解説しています。ここから先は「では、誰が実際にやっているのか」です。

「プラットフォーム」が指す4つのレイヤー

レイヤー仕事の中身代表例(順不同)
ファンド運用実際の資産(米国債など)を運用するBlackRock、Invesco、Franklin Templeton、Janus Henderson
発行・移転代理トークンを発行し、株主名簿にあたる記録を管理するSecuritize、Superstate、Tokeny、Progmat、BOOSTRY
保管・インフラ鍵の管理、ウォレット、コントラクト運用Fireblocks
取引(二次流通)ATS・PTSなどの売買の場Securitize(ATS)、大阪デジタルエクスチェンジ(START)

分解して見ると分かりやすい例が2つあります。

  • BUIDL:ファンドは「BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund Ltd.」、基盤はSecuritize、購入はSecuritize Markets, LLC経由の適格投資家(qualified investors)限定。総資産額28.7億ドル(30日で+21.12%)、7日APY 3.40%(2026年7月15日時点・rwa.xyz)。8チェーン(Ethereumは BUIDL と BUIDL-I の2シェアクラスで計9デプロイ)に分散し、Ethereum 合計10.19億ドル(35.5%)、Avalanche C-Chain 9.03億ドル(31.5%)、Solana 6.22億ドル(21.7%)、BNB Chain 2.46億ドル(8.6%)が主力です。同じチェーンに複数のシェアクラスが並ぶため、表示される「行数」はチェーン数と一致しません。
  • JTRSY:発行体はAnemoy、プラットフォームはCentrifuge、運用助言はJanus Henderson——1商品に3社が入っています。残存0〜3か月の米国短期国債(T-Bills)のみを保有し、総資産額8.79億ドル(2026年7月15日時点・rwa.xyz)。対象はプロ投資家と米国外の適格投資家に限られます。

カテゴリ別ディレクトリ(2026年7月時点)

米国債・MMFのトークン化

最大のカテゴリです。トークン化された米国債のdistributed valueは155.2億ドル(2026年7月15日時点・rwa.xyz)。

商品運用基盤誰が買えるか
USYCHashnote International Short Duration Yield Fund Ltd.(ケイマン諸島)Circle International Bermuda Limited(トークン管理者)米国人以外(non-U.S. Persons)/最低10万ドル
BUIDLBlackRockSecuritize適格投資家(Securitize Markets, LLC経由)
USDYOndoOndo米国人以外(Regulation S)
OUSGOndoOndoQualified Purchaser/Accredited Investor(Rule 506(c))/即時交換は最低5,000ドル
BENJI(FOBXX)Franklin TempletonFranklin Templeton個人も可(Benji Investmentsアプリ/iOS・Android・米国のリテール投資家向け)。プラットフォームは9チェーンに対応(2026年7月16日時点・Franklin Templeton
USTBInvesco Advisers, Inc.SuperstateAccredited Investor/Qualified Purchaser/原則最低10万ドル
WTGXXWisdomTreeWisdomTree Connect機関投資家(開始時点)

この表で最も重要なのは右端の列です。 ほぼすべてが機関投資家か適格投資家に限定されており、しかもUSYCとUSDYには「米国人以外」という逆向きの制限がかかっています。個人が普通に入れる入り口は、このカテゴリではBenji Investmentsアプリがほぼ唯一の例外です。

なおUSYCやUSDYは名前も見た目もステーブルコインに似ていますが、中身は利回りを生むファンドの持分で、価格も1ドルに固定されていません(USYCのNAVは1.13ドル/2026年7月15日時点)。決済用のステーブルコインとは、法的な位置づけも買える人も別物です。

2026年に変わった点を3つ(古い記事の多くはまだ直っていません)。

  • USTBはもうSuperstateのファンドではありません。 正式名称は「Invesco Short Duration US Government Securities Fund」で、運用はInvesco Advisers, Inc.。AUMは約7.7億ドル、30日利回り3.52%、運用報酬0.15%以下(2026年7月16日時点・Superstate)。Superstateは移転代理人と基盤提供に回っています。
  • USCCは2026年6月1日にBitwiseが運用を引き継ぎ、「Bitwise Crypto Carry Fund」に改称されました。 ティッカー・スマートコントラクト・トークンアドレスは据え置きで、AUMは2.59億ドル超(2026年5月29日時点)、利回り約4%、運用報酬0.75%、Qualified Purchaser限定(Bitwise)。Superstateは移行期間120日のサブアドバイザーとSEC登録移転代理人を務めます。
  • Superstateは意図的にファンド運用から退き、インフラに集中しています。 現在の商品はFundOS(ファンドのトークン化)とOpening Bell(株式のトークン化。トークンレベルの許可制とホワイトリストでEthereum・Solana上の株式発行を可能にする。事例:Galaxy Digital(GLXY)、Forward Industries(FWDI))(2026年7月16日時点・Superstate)。

3つ並べると市場の成熟が見えます——運用会社は運用に、基盤会社は基盤に戻っているということです。

WisdomTreeは規制面の例外です。WTGXXでSECの適用除外措置を得て24時間365日の取引と即時決済を開始し、「登録済みのトークン化投資信託の受益権が、米国の規制の枠内で24/7の取引と即時決済を認められた初のケース——ディーラー・プリンシパル型の流動性モデルによるもの」とされます(2026年2月24日・WisdomTree IR)。この末尾の限定こそが本質です。取引所を通すのではなく、WisdomTree Securitiesが自己勘定(principal)で相手方になるディーラー方式で、しかもそのバランスシートの範囲内という制約があります。1社のバランスシートを相手にした24/7取引は、市場があることと同義ではありません。

OUSGは「トークン化ファンドのファンド」

この市場の入れ子構造を最もよく示すのがOUSGです。総額4.08億ドル、30日利回り3.44%(2026年7月14日16:00 EDT時点・Ondo)。中身はこうなっています。

組入比率
State Street Galaxy Onchain Liquidity Sweep Fund36.80%
BlackRock BUIDL24.76%
Franklin OnChain U.S. Government Money Fund(FOBXX)18.90%
Fidelity Treasury Digital Fund18.28%
銀行預金・USDC残り

つまりOUSGを持つ人は、間接的にBUIDLとFOBXXを持っています。「どのプラットフォームか」を確認するときは、その下にさらに別のプラットフォームが隠れている可能性を疑ってください。

プライベートクレジット(企業向け融資)

distributed value 70.2億ドル、represented value 355.7億ドル、対象資産2,507件、保有者185,202人(2026年7月15日時点・rwa.xyz)。

プラットフォームdistributed value状況
Maple14億ドル稼働中。2019年の開始以来234.3億ドルの融資を組成したと自称
STOKR14億ドル稼働中
Centrifuge7.465億ドル稼働中
Realiz5億ドル稼働中
Securitize4.882億ドル稼働中
Goldfinch終了手続き中(現役として扱わない)

Goldfinchは畳んでいます。 2026年6月12日に提案されたGIP-87「Maintenance Mode of Goldfinch Operations and Wind-Down Goldfinch Prime」により、Goldfinch Primeの既存投資家は全額償還され、アプリは閉鎖されます。今後は「既存の借り手プールの整理」「利用者が返済を回収できるようレガシーアプリを維持すること」「財団の運営を責任をもって終了すること」に絞られ、法的権利はTed Gavinを受託者とする米国の新設信託に移されます(Goldfinch Governance)。投票は賛成約110万GFI・反対ゼロで可決し、定足数を4倍以上上回りました。Goldfinch Primeは2025年2月に始まったものの「継続的な投資を正当化するだけの採用に至らなかった」とされ、プロトコル全体で累計約1億ドルの融資を仲介した一方、「いくつかの借り手プール」に「深刻なパフォーマンス上の問題」があり「数年にわたる再建・法的手続き・回収」が必要と説明されています(The Block・2026年6月23日)。

それでも「RWAプラットフォームまとめ」系の記事の多くは、いまもGoldfinchを現在形で紹介しています。ディレクトリは、中身を読む前に日付を読んでください。

Centrifugeは「プライベートクレジット専業」から「オンチェーン資産運用のインフラ」へ位置づけを変え、ファンド・クレジット・国債などを扱うとしています。同社発表でTVL 18億ドル超、トークン化資産1,768件(日付の明記なし・2026年7月16日に確認・Centrifuge)。商品はBuild on Centrifuge(セルフサービス発行)、deRWAトークン(機関投資家向け資産をDeFiで移転可能にするラッパー)、Anemoy(ファンド組成・運用子会社)。提携先としてJanus Henderson、Apollo、Coinbase、Morpho、Aaveを挙げ、2026年6月にはNew York Life Investment Managementとの提携も発表しています。

発行・移転代理・インフラ(「開発会社」を探しているならここ)

会社役割特徴
Securitize発行・移転代理・ファンド管理・ATS運営米国で最も垂直統合。SEC登録ブローカーディーラー兼移転代理人、SEC規制下のATSを運営、EUではDLTパイロット制度下の投資会社・取引決済システムの認可も保有
SuperstateFundOS/Opening Bell/SEC登録移転代理人運用から退きインフラに集中
Tokeny発行・コンプライアンス基盤ルクセンブルク・2017年設立。ERC-3643(T-REX)標準を2018年にオープンソース化。2025年5月にApex Groupが過半数株式を取得。同社発表で顧客120社超・320億ドルをトークン化、SOC 2 Type II取得
Polymesh規制資産専用のパブリック・パーミッションドL1スイスの非営利Polymesh Associationが2021年10月28日にメインネット(ジェネシスブロック)をローンチ(事前の告知は2021年10月13日を予定日としていました)。全参加者にKYCを要求し、ノード運営は既知・免許・規制対象の金融機関に限定。2024年3月に金融機関向けPolymesh Privateを発表
Fireblocksカストディ/インフラ(発行体でも移転代理人でもない)MPCベースのセキュリティ、ウォレット提供、コンプライアンス/ポリシーエンジン、トークン化機能。ABN AMROはFireblocksを使い「欧州の主要銀行として初めてトークン化債券を発行」
Figure/Provenance融資組成+自前のパブリックチェーン2018年設立(Mike Cagney、June Ou)。2025年9月にNasdaq上場(FIGR・時価総額76億ドル)、Russell 1000構成銘柄。2025年までに米国で170億ドル超の住宅担保融資を仲介

Securitizeは2026年3月24日にNYSEと覚書(MoU)を締結し、「今後予定されているNYSE系のトークン化証券プラットフォーム上で、事業会社やETFの発行体向けにブロックチェーンネイティブな証券を発行できる最初のデジタル移転代理人」と位置づけられました。ただしリリースはNYSEが「提携する計画(plans to partner)」と述べるにとどまり、Securitizeの移転代理人としての立場も「適用される要件を条件として(Subject to applicable requirements)」「支援する見込み(is expected to support)」という条件付きの表現です。つまり意向の表明であって、統合が完了したわけではありませんICE IR)。同社は2026年7月2日にNYSEへティッカーSECZで上場し、初日に自社株2.95億ドル分をSolanaとAvalanche上でトークン化しました(CoinDesk・2026年7月2日)。rwa.xyz上のSecuritizeプラットフォーム合計は50.7億ドル・24件のRWA・保有者1,860人(2026年7月15日時点)。

トークン化株式:同じ名前で呼ばれる3つの別物

  • Ondo Global Marketsは440銘柄超の株式・ETFのトークンをEthereum・BNB Chain・Solanaで提供。「Not Available in US」と明記し、米国外のリテール・機関投資家向けで、英国・スイス・EEAでは適格/プロ投資家に限定されます。トークンは対応する現物株・ETFに「完全に裏付けられ」、米国登録のカストディアン兼ブローカーディーラーが保管、独立したSecurity Agentが第一順位の担保権を持ちます。発行・償還は24/5、トークン同士の取引が24/7(2026年7月16日時点・Ondo)。
  • Superstate Opening Bellは発行体の側から自社株をトークン化する仕組み。
  • Securitizeは自社のNYSE上場株そのものをトークン化しました。

第三者が預かった現物をラップしたトークンと、発行体自身が同じ株式をトークン化したものは、別の金融商品です。「トークン化株式」という一語で平らにしないでください。

日本:発行は伸びているが、流通市場は極小

英語圏のディレクトリがほぼ書かない領域です。BOOSTRYの調査(公開情報ベース・2026年4月2日公表・野村ホールディングス)によると、2025年度の公募ST発行額は1,650億円(単年)、累計3,333億円。前年比でおよそ倍で、銘柄数は単年24件・累計82件、発行額100億円超の案件が7本ありました。2026年度は単年2,000億円・累計5,300億円と予測されています(実績ではなく予測です)。

資産クラスの内訳を見ると、日本のSTがいかに不動産に偏っているかが分かります。

資産クラス2025年度の発行額
不動産を裏付けとする特定受益証券発行信託型1,408億円(全体の約85%
社債型204億円
未公開株型24億円
不動産の匿名組合型14億円

そして、日本のRWAで最も重要な数字がこれです。

要点

ODXが運営するST二次流通市場「START」の時価総額は、2026年3月末時点で336億円・8トークンBOOSTRY調査)。累計発行額3,333億円に対し、取引できるのはおよそ1割・わずか8銘柄です。日本は発行の市場を作りましたが、流通の市場はまだほとんど作れていません。

STARTは日本初のST二次流通市場(大阪デジタルエクスチェンジが運営するPTS)で、2023年12月25日に取引を開始しました。第1号は「いちご・レジデンス・トークン」——いちごグループの完全子会社いちごオーナーズが発行した住宅6物件の不動産ST(発行総額29.25億円・運用期間約5年2か月)で、Progmatのプラットフォーム上で発行されています(あたらしい経済)。現在STARTで取引できるのは「当社が取扱いを承認した不動産ST」に限られますが、ODXは他のST種別への拡大意向を示しています(2026年7月16日時点・ODX)。売買にはSTARTに参加する証券会社でST取引口座を開き、その証券会社を通じて注文する必要があります。

発行基盤は事実上2つです。Progmatは2023年10月2日設立で、三菱UFJ信託銀行を中心に、NTTデータ・みずほ信託銀行・三井住友信託銀行・SMFG・SBI PTSホールディングス・JPX総研・Datachainが出資する中立的な合弁会社。2025年4月9日公表のプレシリーズA(1stクローズ)で農中信託銀行・あおぞら銀行・ケネディクスが加わり、三菱UFJ信託銀行の持分は42.39%に下がりました。これは連結子会社となる水準を意図的に下回らせ、中立性を保つ設計です。BOOSTRYは2019年9月2日設立で「ibet for Fin」を運営。2023年3月30日公表時点の株主構成は野村ホールディングス51%・野村総合研究所34%・SBI 10%・JPX 5%です。

具体的な発行体の例としては、1995年創業のケネディクスがあります。日本における不動産証券化のパイオニアで、2021年8月に「Progmat」基盤を活用した本邦初の公募型不動産STの募集を実施し、累計運用資産額は約1,390億円(2025年2月末現在・鑑定価格ベース)に達しています。運用資産総額は4.6兆円超とされますが、この数字の出典である2025年4月9日公表の連名リリースは測定基準日を明示していませんProgmat他)。日付の無い数字は「公表時点の自己申告」として扱う——この記事が繰り返している作法を、ここでも適用してください。

法律の枠組み

改正金融商品取引法は2020年5月1日に施行され、電子記録移転権利という区分が新設されました。重要なのは、これが第二項有価証券から第一項有価証券へ「格上げ」された点です。第一項になると発行者に開示義務が生じ、取り扱う業者には5,000万円以上の資本金が求められます。一方で適用除外電子記録移転権利という別枠があり、こちらは第二項扱いで開示義務がなく(業者の資本金要件も1,000万円)、代わりに2つの技術的な制約が課されます——(1)保有者を適格機関投資家等に限る「取得者制限」、(2)移転のたびに保有者の同意と発行者の承諾を要する「移転制限」です(BUSINESS LAWYERS)。日本証券業協会の定義では、株式や社債といった第一項有価証券をトークン化したものが「トークン化有価証券」、集団投資スキーム持分などのみなし有価証券をトークン化したものが「電子記録移転権利」にあたります(JSDA)。

日本は「トークンだから」ではなく「中身が何か」で規制する設計です。ステーブルコインが資金決済法、STが金商法の下にあるのはそのためで、前者は日本のステーブルコイン規制で整理しています。

プラットフォームを見分ける5つの質問

  1. どのレイヤーの会社ですか? 運用会社・発行基盤・カストディ・取引の場は全部別物です。Fireblocksに発行や移転代理を頼むことはできません。
  2. 誰が買えますか? 上の表の大半は機関投資家・適格投資家限定です。「RWAなら誰でも米国債に投資できる」という説明は、商品ごとに見ると今のところ多くが事実と違います。
  3. その数字はdistributedですか、representedですか? その一語に10倍の差が隠れています。
  4. 中身は他のトークン化ファンドではありませんか? OUSGのように入れ子は珍しくありません。
  5. その情報は何日時点ですか? USTBの運用会社もUSCCの名前もGoldfinchの生死も、この1年で変わりました。

ソースが割れることもあります。USYCの残高は、rwa.xyzの表示(約30億ドル/2026年7月15日時点・rwa.xyz)と、Circle自身のUSYCページの表示(約3.13億ドル=およそ10分の1/2026年7月16日に確認・Circle)が大きく食い違っていました。どちらが正しいかをこの記事では断定しません。数字は1つのソースだけで信じない——という実例として挙げておきます。

リスク:トークンと法的権利は別物です

  • 法的権利 vs トークン:トークンは記録であって、権利そのものとは限りません。誰に償還を請求できるのかを確認してください。USYCならケイマン諸島籍のHashnoteのファンド、BUIDLなら「BlackRock USD Institutional Digital Liquidity Fund Ltd.」という発行体が相手です。
  • 償還:交換の窓口、最低額(OUSGの即時交換は5,000ドル、USYCとUSTBは原則10万ドル)、相手方の営業体制に縛られます。Ondo Global Marketsも発行・償還は24/5で、24/7なのはトークン同士の取引だけです。
  • 流動性発行額 ≠ 売れる量。STARTの336億円 対 累計発行3,333億円は、発行と流通の差をはっきり示す実例です。WisdomTreeの24/7取引も、相手は取引所ではなく1社のディーラーのバランスシートです。
  • カウンターパーティ:運用会社・トークン管理者・カストディアン・移転代理人は別会社で、それぞれが撤退・破綻しうる相手です。Superstateの2商品で運用会社が1年のうちに入れ替わり、Goldfinchが畳んだことは、この層が動く証拠です。
  • スマートコントラクト:許可制のトークンでも、コントラクトのバグや権限設計の問題は消えません → スマートコントラクトのリスク
  • 「分散」の程度:Polymeshは全参加者にKYCを求め、ノード運営を免許業者に限ります。Superstate Opening Bellもトークンレベルの許可制とホワイトリストを使います。オンチェーンであること=誰でも自由に移転できること、ではありません。何がどこまで許可制なのかは中央集権と分散で整理しています。

投資にあたっての注意

本記事は情報提供を目的とした解説であり、投資助言ではありません。暗号資産は価格変動やハッキング等のリスクがあります。数値・制度は変わります。必ず一次情報で最新をご確認のうえ、投資判断はご自身の責任で、余裕資金の範囲で行ってください。

Sources

  1. RWA.xyz — オンチェーンRWAの分析ダッシュボード
  2. RWA.xyz — トークン化された米国債
  3. RWA.xyz — トークン化プライベートクレジット
  4. RWA.xyz — BlackRock BUIDL
  5. Ondo Finance — OUSG
  6. Franklin Templeton — Benji
  7. Circle — USYC
  8. Superstate — USTB(Invesco Short Duration US Government Securities Fund)
  9. Bitwise — Bitwise Debuts Inaugural Tokenized Fund, the Bitwise Crypto Carry Fund
  10. WisdomTree IR — 24/7取引と即時決済の開始
  11. Goldfinch Governance — GIP-87: Maintenance Mode and Wind-Down Goldfinch Prime
  12. Polymesh — Polymesh mainnet is live!(2021年10月28日のジェネシス)
  13. ICE IR — NYSE and Securitize Agree to Memorandum of Understanding
  14. 野村ホールディングス/BOOSTRY — 国内セキュリティ・トークン市場総括レポート(2025年度)
  15. Progmat・農中信託銀行・あおぞら銀行・ケネディクス — 資本業務提携リリース(2025年4月9日)
  16. 大阪デジタルエクスチェンジ(ODX) — セキュリティ・トークン取引「START」
  17. BUSINESS LAWYERS — 2020年5月1日施行 改正金商法上のセキュリティトークンとは
  18. 日本証券業協会(JSDA) — トークン化有価証券

FAQ

RWAトークン化プラットフォームとは何ですか?
1つの言葉で4つの別々の仕事を指しています。①ファンドの運用(BlackRock、Invesco、Franklin Templetonなど)、②トークンの発行と保有者記録の管理=移転代理(Securitize、Superstate、Tokeny、Progmat、BOOSTRYなど)、③保管・インフラ(Fireblocksなど)、④二次流通の場(SecuritizeのATS、大阪デジタルエクスチェンジのSTARTなど)です。1社が全部を担う例はほとんどありません。たとえばBUIDLは、運用がBlackRock、基盤がSecuritize、投資家の受付がSecuritize Markets, LLCと分かれています。
個人(リテール)でも買えるRWA商品はありますか?
ごく限られます。米国債・MMFのトークン化では、Franklin TempletonのBenji Investmentsアプリ(iOS・Android)が数少ない個人向けの入り口です。BUIDLは適格投資家限定、OUSGはQualified Purchaser/Accredited Investor限定、USTBはAccredited Investor/Qualified Purchaser限定で原則10万ドル以上、USYCも最低10万ドルです。さらにUSYCとUSDYは「米国人以外」限定という逆向きの制限がかかっています(すべて2026年7月14〜16日時点)。「RWAなら誰でも米国債に投資できる」という説明は、商品ごとに見ると多くが事実と違います。
Goldfinchはまだ稼働していますか?
いいえ、終了手続き中です。2026年6月12日に提案されたGIP-87により、Goldfinch Primeの既存投資家は全額償還され、アプリは閉鎖されます。投票は賛成約110万GFI・反対ゼロで可決しました。今後は既存の借り手プールの整理、返済回収のためのレガシーアプリ維持、財団運営の終了に絞られます。プロトコル全体で累計約1億ドルの融資を仲介しましたが、「いくつかの借り手プール」に「深刻なパフォーマンス上の問題」があるとされています。多くの記事がいまもGoldfinchを現役として紹介しているため、注意してください。
「RWA市場3,836.9億ドル」と「343.2億ドル」はどちらが正しいですか?
どちらもrwa.xyzの数字ですが、測っているものが違います(いずれも2026年7月15日時点)。343.2億ドルは「distributed asset value」=実際にオンチェーンで発行された価値。3,836.9億ドルは「represented asset value」=チェーン上で参照されているだけの資産(FigureのHELOCプールなど)を含む数字です。10倍以上の差は成長ではなく定義の違いによるものなので、見出しの数字がどちらなのかを必ず確認してください。
日本のセキュリティ・トークン(ST)はどこで売買できますか?
二次流通市場は大阪デジタルエクスチェンジ(ODX)が運営するPTS「START」で、2023年12月25日に取引を開始しました。売買にはSTARTに参加する証券会社でST取引口座を開き、その証券会社を通じて注文します。ただし規模は小さく、2026年3月末時点の時価総額は336億円・8トークンのみ(累計発行額3,333億円に対しておよそ1割)。取引できるのはODXが承認した不動産STに限られますが、ODXは他のST種別への拡大意向を示しています。
USTBはまだSuperstateのファンドですか?
いいえ。現在の正式名称は「Invesco Short Duration US Government Securities Fund」で、運用はInvesco Advisers, Inc.です(2026年7月16日時点)。Superstateは運用会社ではなく、SEC登録移転代理人および基盤提供者の立場です。同様にUSCCも2026年6月1日にBitwiseが運用を引き継ぎ「Bitwise Crypto Carry Fund」に改称されました(ティッカー・スマートコントラクト・トークンアドレスは据え置き)。Superstateは意図的にファンド運用から退き、FundOSとOpening Bellというインフラ事業に集中しています。
空(Sora)
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暗号資産・ブロックチェーンの初心者向け解説を担当する編集者です。中立性と一次情報(出典)を重視し、やさしさと正確さの両立を心がけています。投資の勧誘や助言は行いません。 A crypto & blockchain editor focused on beginner-friendly, source-backed explainers. Neutral, never financial advice.

本記事は情報提供のみを目的とし、投資・金融・取引の助言ではありません。価格は参考値で古い場合があります。投資判断はご自身の責任で。